幸せになる勇気(岸見一郎/古賀史健)を読み終えた。
これからの人生の道筋がはっきり見えたような、逆に雲に撒かれたような…
今そんな不思議な感覚。
この理由はこの本で述べられていることが極めてシンプルである一方、実践することが難しいためだと思う。
私が本書を読んで一番強く感じたメッセージ、それは次の文です。
「いま、ここを真剣に生きる」
過去のトラウマも未来の悩みも関係ない、今この瞬間だけに集中する。
この言葉を聞いて人生が楽になる人が大勢いるに違いない。
本書のタイトルである「幸せになる勇気」とは「愛する勇気」だと述べられている。
人を愛すると幸せになれる。人に愛を与えると幸せになれる。
これはよく言われる「ギバー(Giver)」の考え方のさらに先をいく考え方だと感じている。
ギバーの考え方とは「情けは人のためにならず」というもので、人に与えていると回り回って最後は自分によいことが返ってくると言うもの。
一方本書でいう「愛を与える」とは、自分の主語を「わたし」から「わたしたち」に変えて、相手のことを完全に自分ごととして考えると言うこと。
ギバーが自分から人に与えるのに対して、愛するとは相手と完全に同じ立場に立つと言う点が、ギバーの思想の先を言っていると感じている点だ。
では「愛する」にはどうしたらいいのか?
ここで冒頭に述べた「いま、ここを真剣に生きる」という考え方がでてくる。
相手との関係の今に集中して「おどりつづける」と本書の中では表現されている。
目の前の人を愛すると心に決めて、その人との今に集中する。過去も未来も打算も計算もなく、その人に貢献するよう行動し続ける。
なんて難しいことを言うんだ…と衝撃を受けた。
なぜ人を愛すると幸せになれるのか。その理由もはっきりと説明されている。
人間は人間関係でのみ悩みと幸福を感じるからだ。
全ての悩みと幸福は人間関係によるものと断言されている。
地球上に自分1人なら悩みもなければ幸福感もない。
人と比べるから悩み、人に貢献できていると感じるから幸福感を得られる。
この「人に貢献する」を実現する方法が「愛する」ということだ。
私は特に仕事での人間関係にいつも悩んでいる。
つまらない人間関係、口うるさい上司、興味のない業務…
これまでは仕事での悩みを環境のせいにしていた。今の会社だから仕事がつまらない。収入のためにしかたなく今の仕事を続けようと…
しかし本書を読んで気付いた。今の環境に不満を抱くのか、それとも今の環境で生き生きと働くのかは自分の行動次第だと。
人間関係をつまらないと感じるのは、会社の同僚に自分が貢献できていないから。自分が関心を寄せられていないから。
いい環境が幸福感を作るのではなく、自分の行動や考え方が良い環境を作る。
というか環境は何も変わらない。変わるのは自分だけ。
これからいま、ここを真剣に生きよう。
自分と、自分と関わってくる人全員の幸福のために。